2015年09月28日

自衛隊のメンタル教官

自衛隊のメンタル教官とは、正式には心理幹部というのでしょうか。
陸上自衛隊衛生学校メンタルヘルス教官であり、自衛隊の医師や看護師などの衛生科隊員にカウンセリングなどを教える先生のようですね。

東日本大震災のように多くの犠牲者と向き合うとか、不眠不休の任務で心が疲れてしまったとか、おそらく本来は戦場で激しいストレスにさらされてしまった将兵の心の健康を保つための任務を遂行する自衛官がいるようです。

陸自初のメンタル教官の下園氏は執筆活動を通して一般の方にもメンタル強化のコツなどを伝えています。



自衛隊メンタル教官が教える 心の疲れをとる技術
心の疲れ、頑張り過ぎた鬱や新型鬱をムリ・ムダ・ムラという工場の品質管理のような観点から解説しています。
ムリをし続けると、心の弾性がなくなって、一日二日休んだだけでは元に戻らないことを説いています。
疲れやストレスの要因を数値化して解析しているのは、大人数の自衛隊でノウハウ展開するためには絶対必要だと感じました。
通常の上司がすべてメンタル的なカウンセリングができるわけじゃないですからね。
上司が部下の負荷を数値化して疲れの目安を考慮できるのは素晴らしいと思いました。
もちろん、それですむわけじゃありません。それでも、指針があるのと無いのでは組織として大違いでしょう。
ゼロかイチかで判断しすぎるのも良くないとたしなめています。

がんばることに疲れてしまったとき読む本
がんばりすぎという状態が多い理由を様々な観点から解き明かします。
子供のころに「ひとりでやりなさい」と教育されるため、大人になってもひとりで何でもやってしまおうとすることに警鐘を鳴らしています。
その他、がんばりすぎる原因として、狩猟時代に1番になると生き残るのに非常に有利であったため、
寿命が短い時代の考え方の名残、
農耕民族だから、などなどユニークな原因を挙げています。
がんばりすぎるのが現代人の特徴なんだなーと理解できて良かったです。

学校では絶対に教えてくれない 自分のこころのトリセツ
下園氏にインタビューしたライターさんが文章をまとめています。
本の構成や文章の感じが、他の本と全く違います。
読みやすいです。(下園さんゴメンナサイ)
数多くの性格的な悩みが書かれていて、それぞれに対応策が示されています。
誰もがどれかには当てはまると思います。

心理幹部の活躍の場は、陸自だけでなく、海自・空自にも広がっていくのでしょう。
技術幹部として、海空自でも募集しているようです。

海上自衛隊
【心理部門】
○心理行政部門
心理学に基づく海上自衛隊の施策に関する企画、指導及び監督
○相談業務
海上自衛隊の相談室・自衛隊病院等におけるカウンセリング、心理査定、惨事ストレスケア活動等
○部隊及び家族支援業務
海上自衛隊の各相談室における心理に関する部隊及び家族支援(コンサルテーション、メンタルヘルス教育等)
○研究業務
心理に関する調査・研究(メンタルヘルス、ストレス、疲労等)

航空自衛隊
【心理部門】
心理分野の施策に関する企画、指導及び監督並びにカウンセリング、心理査定、研究等

参考サイト:札幌地方協力本部
 http://www.mod.go.jp/pco/sapporo/recruit/license_mt.html
タグ:軍事
posted by じゃが〜 at 22:38| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月16日

嘘だらけの日露近現代史

倉山氏による嘘だらけシリーズ4作目になるのでしょうか。


今まで、日米、日中、日韓のそれぞれについて、嘘だらけと銘打って、通説に対する新たな解釈・反論を述べてきたようです。


著者の独自の語り口とオタクネタをぶっこんでくるセンスが好きで、最近よく読みます。

この本では、日露関係を新たな視点で見直すために、ロシア・ソ連の歴史を紐解くところから始まります。
各章のタイトルと、ちょっとした感想を書きます。
第1章 ロシアの正体
 ロシアの法則、タタールの軛(くびき)、モスクワ大公国

 ここでは、第1にロシアを知るキーワード「文明を熟知したうえで破る」というロシアの法則を独自に提示しています。
 文明の何たるを理解しないあの国やかの国とは違い、ロシアは近代というのを良く分かっていて、まさに文明の約束ごとを破るために約束を研究するという特性があると主張しています。
 実にユニークな視点です。

第2章 ロシア帝国の誕生
 ウィーン包囲作戦、ピョートル大帝、大北方戦争


第3章 アジアに優越する欧州五大国
 継承戦争、七年戦争、徳川吉宗と田沼意次、エカテリーナ2世

 このあたりから日本との関係が少しずつ出てくる。

第4章 地球規模のグレートゲーム
 グスタフ3世、ナポレオン戦争、クリミア戦争

 英国との地球規模の陣取り合戦、イギリス外交の巨人パーストマンとの関係が良く分かりました。

第5章 ロシアから見た幕末政治
 榎本武揚、ビスマルク、日露戦争

 ロシアと対等の条約を結んだ榎本武揚の偉業、ビスマルクやバルカンに影響されたロシア政治の様子を始めて知ることができます。

第6章 ロシアをつぶしたソビエト連邦
 バルカン戦争、第一次世界大戦、ロシア革命と干渉戦争、レーニン

 干渉戦争、つまりはシベリア出兵ですが、実は今まで良く分かっていませんでした。
 もやもやとした結論になったシベリア出兵について、初めて腑に落ちる説明に出会った気がします。
 いかれたアメリカ大統領ウィルソンに振り回され、さらには国内では人気とり大衆政治家の原敬が国政を誤ったのでしょう。

第7章 悪の論理はスターリンに学べ
 コミンテルン、スターリン、第二次世界大戦


第8章 ソ連はなぜ冷戦に負けたのか?
 戦勝国、チトーとフルシチョフ、冷戦、ゴルバチョフ


第9章 ロシアの苦悩とプーチンの野望
 コソボ紛争、プーチン


この本で、世界史をロシアの視点から見ることができました。
膨張しようとするロシア、日独の挟み撃ちを恐れたソ連、そしてプーチン体制になったロシアといかに付き合っていくかが日本にとっての大きな問題です。
そもそも幕末以降、日本の独立や安全保障はロシアの干渉をいかに跳ね返すかにかかっていたのでした。

第二次大戦でスターリンによる謀略でシナの戦争に嵌り、国内も赤化し、米国も赤化したなかで英米と戦火を交え、道を誤ってしまいました。
正しくソ連に圧力をかけていれば、日本は米英と戦わなくてすんだのかもしれません。

今後、また道を誤って日本という国を失うことの無いよう、ロシアの論理を学ぶ必要性を一層感じました。
タグ:地政学
posted by じゃが〜 at 00:45| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年08月05日

ユーザインタフェース関連の読書記録 (融けるデザイン 失敗から学ぶユーザインタフェース スマホに満足してますか? )

SEっぽいことを職業にしているので、ユーザインタフェースにも多少関心があります。
最近3冊ほど読んでみましたので、紹介します。

融けるデザイン ―ハード×ソフト×ネット時代の新たな設計論 渡邊恵太 (著)


「融ける」という言葉がタイトルに使われています。
これは、コンピュータの画面を設計する従来のデザインに替わり、人にデバイスを意識させることなく、生活や環境に融け込んだデザインが大事になってくるということを示しています。
これから重要になるのは、モノと人との境界としてのインターフェイス設計ではなく、情報を取り出して使用することを通常の生活の中で、意識せずにヒトが実施できてしまうインタラクションのデザインだということを主張されています。

自分の研究成果も紹介しつつ、今後の情報デザインの傾向を指し示しています。
心理学や社会学も取り込み、興味深い内容になっています。
ネットで検索したレシピの単位に合わせて容量が変化する計量スプーンなんてアイディア、面白いですね。

ただ、本書の真髄はそのようなガジェット紹介ではなく、ネットの情報をいかに生活に融け込ませて実社会に活かしていくかということにあります。

デバイスを操作したときの自己帰属感という概念の考察や、ユーザの空き時間に合わせて選択されるコンテンツといった逆転の発想など、従来のマン・マシン・インタフェースにはない考え方が斬新です。


失敗から学ぶユーザインタフェース 世界はBADUI(バッド・ユーアイ)であふれている 中村 聡史 (著)


面白いです。
ユーザインタフェースの失敗事例集です。
決して人を困らせてやろうとして作ったものではないはずなのに、世の中には使い難いものが溢れています。
その失敗事例は人を惹きつけ、絶好の教育資料となっています。

この本では事例が陥った事例を分類し、要因ごとに写真と解説の文章で解説しています。
写真を見ているだけでも結構な分量です。


スマホに満足してますか? ユーザインタフェースの心理学 増井 俊之 (著)


体系的な記述ではないかもしれませんが、非常に広範囲の話題を網羅していて、新書の厚さの割りに読み応えがあります。
タイトルは出版社の煽りかも。スマホのユーザインタフェースの話はほんのちょっとしかない印象です。

著者の興味の向くままに話が飛びますが、それでも扱う内容の数や範囲は半端ではありません。
インターフェイスに興味があるなら、一度目を通しておいて損は無いと思います。
posted by じゃが〜 at 17:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年07月20日

内向型な悩みのビジネスマンへ 内向型人間のための伝える技術

内向型という点に関する本が結構でていることに気がついた。
世の中には内気で引っ込み思案、人前で話すのが苦手などで悩んでいる人が多いのだろう。

内向型をキーワードに何冊か読んでみた。

内向型人間のための伝える技術


会計事務所で実力を磨き、多くの出版に至った経歴をうまく生かし、内向的な人間が成功するためのコミュニケーション術を披露しています。

内向的なことは悪いことではありません。ひとつの才能です。
内向的でもポジショニング次第で成功することができます。
内向的なことは悪いことではなく、その特徴を生かして準備しておくことが大事。
論理をきちんと詰めて説明しましょう。
言いたいことは資料に記載しておきましょう。
などと、説明します。

これらを自分の経験からだけで語るのではなく、説得性を持たせるために、同じような主張をする本を紹介し、著者と同じように自分に自身を持って生きられるよう、強みを生かせるようアドバイスしてます。

たとえば、内向的だろうと外向的だろうと、それぞれが自分の強みの才能を生かすべきだという本
さあ、才能(じぶん)に目覚めよう マーカス バッキンガム


強みを生かすためのポジショニング戦略を解説した本
ポジショニング戦略 アル・ライズ


伝える技術のために、まずはポイントを絞ろう、イシュー(課題)を選ぼうという本
イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」  安宅和人


このような、内向的な人間でも成功するための方策を指南するような書籍を紹介し、さらに自分が採用してうまく言った手法を織り交ぜ、伝える技術(ロジカルシンキングやパラグラフライティング)を解説しています。

おおっ、と思わせるのは、第4章でこの本を書いたときの流れを解説しているところです。

パラグラフを組み立てて論理的で分かりやすい本を書くという実例に、今読者がまさに読んでいる当該の本を使って説明しているのです。
ロジカルツリーを使ったところ、章を分割したところ、それぞれの章を実際に参照しながら著者の言いたいことを確認できます。

大変面白い本でした。

内向型という言葉がはやっているのは、下記の本が注目を浴びたせいなのかもしれませんね。
内向型人間の時代 社会を変える静かな人の力 

posted by じゃが〜 at 16:10| Comment(1) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2015年05月14日

人はなぜ平和を祈りながら戦うのか?

人の世の戦争について、宗教と絡めた興味深い本を読んだので紹介する。


人はなぜ平和を祈りながら戦うのか? (私たちの戦争と宗教) 星川 啓慈, 石川 明人

章立て
1.人は人を殺したがらない
2.それでも戦争はなくならない
3.戦闘における整理と心理
4.宗教と戦争の関係
5.「人を殺すな」か「人を殺せ」か
6.聖書・キリスト教における「平和」
7.軍事大国アメリカの宗教
8.日本のクリスチャンと戦争責任
9.キリスト教氏の中の暴力と平和
10.戦場の聖職者たち
11.テロをめぐる善と悪
12.戦うことは絶対に許されないのか?
13.兵役拒否と宗教
14.世界の諸宗教の平和運動

宗教がどのように軍人の支えになってきたか、また宗教と戦争の折り合いを人々はどのようにつけてきたのかを考察している。
そもそも、どの宗教にも平和や愛に相当するものは謳われているものだ。
なのにどうして人間は戦争をしてしまうのか。
本質的に人間は殺人を嫌うもので、兵役拒否があり、実際の戦闘になるとサボタージュして銃を撃っているように見せかける事例もあると言います。それでも戦争はなくなりません。
そして、宗教は戦争にどのように関わってきたのでしょうか。
様々な疑問を著者が平易に解説するので、読みやすい。

宗教だけでなく、戦争そのものにもじっくりと取り組んでいる内容に好感が持てた。

なお、1章の人間性と戦争に関しての考察で参照されている本には、下記のようなものがある。


戦争における「人殺し」の心理学
WW2後の研究で歩兵部隊の2割しか発砲していないことが分かった米軍部は愕然とした。その他は、弾を込める、けが人の介護、威嚇射撃等で殺人を避けていたのだ。
 その後、戦闘中の殺人に関する心の研究が進み、遠くからなら、条件反射なら、責任を転嫁できるなら、戦友を守るためなら、発砲できることが判明した。訓練は見直され、ベトナム戦争では発砲率は9割にも跳ね上がった。
 ところが、ベトナム戦争後に兵士を待っていたのは、殺人者と罵り唾を吐きかける市民だった。結果、PTSD患者が続出し、米国はこのころから様々な社会問題が噴出し、後の世代(子や孫)まで影響を与えている。
 人は本質的に人殺しはしたくないものなのだ。

一方で、人類の文化が戦争と深く関わっていることを解説する本にも言及している。
それがこれだ。

戦争文化論
 戦争と文化は切り離せない。それは人類が戦争をなくせないからだ。
文化として、衣装、建築、戦争のルール、開戦の作法、終戦の作法、歴史、文学、芸術、記念碑等々を取り上げ、世界の歴史を縦横無尽に駆け巡りながら考察を深める。
 下巻では、軍事史・戦略研究の専門家が「平和主義者」に鋭い問いを投げかける。
「戦争文化」と対比される「平和主義」はパラドクスに満ちているのだ。
特に、「戦争文化」の正常性を失った悲劇をドイツとイスラエルを題材に論じる章は読み応えがある。
タグ:軍事
posted by じゃが〜 at 22:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 読書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
人気ブログランキングへ